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神戸地方裁判所 平成5年(わ)18号 判決 1993年5月17日

本店所在地

兵庫県氷上郡氷上町成松四七九番地の一

法人の名称

池田建設株式会社

代表者の住居

同県同郡氷上町西中二〇六番地の二

代表者の氏名

池田陽太郎

本籍

同県同郡氷上町西中二〇六番地の二

住居

同右

無職

池田弘

昭和三年三月二〇日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官内井啓介出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人池田弘を懲役一年六月に処する。

この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

被告人池田建設株式会社を罰金四〇〇〇万円に処する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人池田建設株式会社は、兵庫県氷上郡氷上町成松四七九番地の一に本店を置き、土木建設業を営むもの、被告人池田弘は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人池田は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における実際の所得額は一億二三五八万六六六〇円で、これに対する法人税額は四九四三万五九〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空の材料費及び外注費を計上するなどの行為により、その所得金額のうち、六三六八万五三六九円を秘匿した上、平成元年一一月三〇日、同郡柏原町柏原五一八の一所在の柏原税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額が五九九〇万一二九一円で、これに対する法人税額が二二六九万七九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同事業年度の法人税二六七三万八〇〇〇円を免れ、

第二  平成元年一〇月一日から同二年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額は三億〇九〇九万七三二八円で、これに対する法人税額は一億一九七一万三三〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為によりその所得金額のうち、二億四六一三万〇〇一八円を秘匿した上、同二年一一月三〇日、前記柏原税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額が六二九六万七三一〇円で、これに対する法人税額が二一二六万八四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同事業年度の法人税九八四四万四九〇〇円を免れ、

第三  平成二年一〇月一日から同三年九月三〇日までの事業年度における実際の所得金額は二億四五八三万〇九五三円で、これに対する法人税額は八八四〇万五八〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、その所得金額のうち、一億六九八六万九六七六円を秘匿した上、同三年一二月二日、前記柏原税務署において、同税務署長に対し、同事業年度の所得金額が七五九六万一二七七円で、これに対する法人税額が二四七〇万四九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、同事業年度の法人税六三七〇万〇九〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人池田弘の公判廷の供述

一  被告人池田建設株式会社代表者池田陽太郎の公判廷の供述

一  被告人池田弘の検察官に対する供述調書(検甲五四号)

一  被告人池田弘の大蔵事務官に対する各質問てんまつ書(同四六ないし五三号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(同五号)

一  登記官作成の各登記簿謄本(同九、一〇号)

一  池田建設株式会社代表取締役池田弘作成の同会社定款写し(同一一号)

一  大蔵事務官作成の各査察官調査書(同一二ないし一四、二二ないし二八号)

一  宮垣昭男の大蔵事務官に対する質問てんまつ書(終わりから二枚目の表後ろから四、五行目を除く。同二九号)

一  根木小枝子の大蔵事務官に対する各質問てんまつ書(同三〇ないし三三号)

一  根木小枝子の検察官に対する供述調書(同三四号)

一  竹安幹夫の大蔵事務官に対する各質問てんまつ書(同三五ないし四四号)

一  竹安幹夫の検察官に対する供述調書(同四五号)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同二号)

一  同作成の法人税確定申告書謄本(同六号)

一  同作成の査察官調査書(同一五号)

同第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同三号)

一  同作成の法人税確定申告書謄本(同七号)

一  同作成の各査察官調査書(同一六ないし一八号)

同第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同四号)

一  同作成の法人税確定申告書謄本(同八号)

一  同作成の査察官調査書(同一九ないし二一号)

(法令の適用)

被告人池田弘の判示第一ないし第三の各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により、犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年六月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予し、更に、同被告人は被告人池田建設株式会社の代表取締役であり、判示第一ないし第三の各所為は、それぞれ代表者が法人の業務に関して同法一五九条一項の違反行為をしたときに当たるから、同法一六四条により、被告人池田建設株式会社に対し同法一五九条の罰金刑を科し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により罰金の合算額の範囲内で被告人池田建設株式会社を罰金四〇〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 加藤光康)

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